BLOGスタッフブログ
2024/03/09
軸組に使用する継手
仙台の工務店 東建設 のブログです。
今回は前にも書いたんですが継手のお話。
最近はプレカットが主流ですが、手刻みとプレカットの違いは何だと思いますか?
あえて手刻みにこだわっているのにはもちろん理由があるからです。
それは継手です。
プレカットではできない継手が手刻みではできるんです。
これは鎌継と言います。
これはプレカットでももちろん手刻みでもできます。
これは金輪継といって手刻みでないと作れません。
この他にも手刻みでないと作れない継手はいっぱいあります。
こういう継手をどこに使うかを検討しながら大工さんは家づくりをします。
もちろんプレカットでは作れないという希少価値から手刻みを採用してるわけでもありません。
継手の強度が全然違うからです。
建物には長期荷重、短期荷重という力が加わります。
長期は常に建物にかかっている荷重で自重やタンスなどの荷重を指します。
短期は地震や風、積雪を指します。
そして、それぞれの力が加わったときに部材(柱、梁、など)には、圧縮、引張、せん断、めり込み、曲げモーメントというような力が発生します。
この時例えば梁の真ん中に床荷重(長期)などがかかったときに梁には曲げモーメント、剪断力が発生します。
地震の時には圧縮、引張、せん断、めり込み、曲げモーメントが発生します。
この写真は去年の緑化フェアの時に作った、鎌継と金輪継の強度を体験できるものになります。
手前が鎌継で奥が金輪継です。
手前の鎌継の下に木が置いてあるのが分かりますか。
何故置いてあるかというと、手前の鎌継に大人が乗ると、最悪壊れるからです。
この鎌継は圧縮、引張には有効でも、継手の上から荷重がかかったときには曲げモーメントやせん断に耐えられません。
要は2つの部材を鎌継という継手でつないではいるけれども、曲げモーメントやせん断が発生すると壊れてしまうということです。
では、金輪継はどうかというと、大人が4人以上乗っても壊れることはありません。
金輪継は2本の材をつないでいても1本と同様に扱うことが出来るくらい強度があります。
長期と短期では力の加わり方が違いますが、どちらにも対応できるのが金輪継です。
先程、プレカットでは金輪継が作れないと言いましたが、プレカットの建物の梁に使われる継手をご存知ですか。
ほぼ100%鎌継です。
合板を張って補強しているから大丈夫という考えだと思います。
梁の弱点を合板で補うということなんですが・・・。
結局今の住宅は木組み(軸組(柱、梁))というよりは在来軸組と言いながら面材構法になっているような感じですね。
反対に大工さんが作る家は軸組(柱、梁)である木組みでまず耐力を確保しつつ、壁の耐力を足す感じになります。
ちなみに、この違いが分かる、分かっていて設計してる建築士ってほとんどいないんです。
今の建築士さんは壁の耐力があると大丈夫という方がほとんど。
軸組になっていないんですね。
柱のほぞを長くしているのも軸組を最大限生かすためのものです。
こうすることで地震時に揺れずらくなりなおかつ復元力が発生して元の位置に戻ろうとする力が生まれます。
上下運動による引き抜きにも有効です。
古いからいいではなく、ちゃんと理由があって昔ながらのいいところを生かしながら長く住まえる家を提案していけたらいいなと思います。
新築、リフォーム、木に関すること気軽にご相談ください。