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2023/09/08
プレカットだから大丈夫は間違い
仙台の工務店 東建設 のブログです。
今、日本で建てられている住宅の工法の割合としては約50%が在来軸組だそうです。(この中には伝統構法も入っていると思われます。)
そのうちプレカットの割合ってどうなんでしょう・・・。
おそらく、8割9割はプレカットなのではと思います。
一般の方はプレカットも手刻みもあまり変わらないと思う方もほとんどではないでしょうか?
弊社ではプレカットよりも手刻みのほうが強度も木を生かすという意味でも最適だという思いから手刻みを基本としていますが、プレカットを採用する場合何に気を付けなければいけないのか・・・。
実は結構深刻な問題だったりします。
プレカットの場合、平面図が決まった段階でプレカット屋さんに平面図を渡すと伏せ図が出来上がってきます。(伏せ図とは梁などの配置が書いてある図面のことです。)
おそらくですが、ほとんどの工務店はこれで終わりです。
多少の納まりや、屋根の大きさなどで微調整はしますが出来てきた図面に対して大きな変更はしないはずです。
でもこれって本当にそれでいいんでしょうか?
昔の大工さんは梁同士が掛かる場合それぞれが同じような梁成になるように掛けるのが常識でした。
梁成30cmのがかかる梁は成を30cm前後にする。
2重梁になるのか、下に柱があるのか、などいろいろ条件はありますが、近い梁成にするというのが基本でした。
しかし、プレカットでは成が10.5cmなどの梁を基本とし、梁成30cmの梁がかかっても下に柱があればかかるほうの梁は10.5cmのままです。(柱間にもよりますが・・・)
下に柱がなけ場合だけ、太い梁を入れる、もしくは細い梁成のしたにもう一本いれるというのを見たこともあります。
構造に少なからずかかわったことがある私から言わせると、なんでそうなるの?って感じです。
要はこれは、長期荷重の鉛直方向しか加味してない構造の考え方です。
在来軸組の良いところは柱、梁のラーメン構造と壁で持たせる構造なんですが、これでは軸組のラーメン構造が有意義に働きません。
木は質量に対する強度がコンクリートや鉄よりもものすごく高い材料です。
そのため、例えば柱にかかる床荷重、外壁、屋根などの長期荷重は確かに耐えられます。
しかし、短期荷重はどうでしょう?
地震や風は横からの荷重です。
この場合本来であれば軸組である柱、梁がラーメン構造として最初に応力を受け持つのが基本です。
しかし、30cmの梁がかかる梁が10.5cmなどでは対応しきれません。
火打ちをいれてもうまく働かないでしょう。
そのため、2階の床には合板を張って水平剛性を高めているのですが・・・。
今の構造は考え方が逆になっています。
極端な言い方をすれば合板で水平剛性がとれるので、梁は鉛直荷重のみを負担し梁成は細くしてもいい、と。
私から言わせると、それはもほや在来軸組じゃないよねって感じです。
柱梁のラーメン構造で建物の強度をある程度持たせた上に、筋交いを入れ、水平剛性は足らないから合板を張る、これが基本です。
要は強度の上積みです。
しかし今の家は上積みがない(余力がどこにもない)、最低限の強度になっています。
これ、実は設計者(建築士)も分かってないです。
分からないから、プレカット屋に丸投げ。
出来てきた伏せ図に対して意見も言わず、そのままでGOサインが出ます。
まてまてそうじゃないって感じです。
プレカット屋から出てきた伏せ図に対して、この梁は太くしてくれ、もしくは最初から自分で伏せ図を描くこれが大事なんです。
最悪梁の掛け方も変更する具合の気持ちで、なおかつ何故こうなっているのかの質問も大事です。
在来軸組というならば最低限このくらいはしないとダメですよね。
今の建物は在来軸組という名の2×4に似てます。
ということで、プレカットで在来軸組を建てる場合は設計士さんに構造のことを聞いてみましょう。
プレカットなので大丈夫と言われたらその設計士さんは構造のこと疎いかもしれませんね。