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2023/02/02
4号特例縮小
仙台の工務店 東建設 のブログです。
次は、4号特例縮小のお話ですが、今までは建築士が設計をすると申請の際一部の申請図書が不要とされていた部分が必要になるというお話です。
一番大きく影響があるのが構造の部分です。
主に木造の住宅(平屋、2階)は簡易な構造計算(N値計算)をすることで、柱頭柱脚の金物、筋交いのチェックを建築士が確認をしていることを前提で申請図書が不要でした。
しかし、今回この構造の設計図書が必要になったということは、考えたくはありませんが、適当にチェックしている建物もあると言うことだと思います。
実際に熊本の地震の際には片筋交いの向きがほとんど一緒の向きに配置されており、大きく傾いた家の写真などもありました。
片筋交いを配置する場合は簡単に言うとハの字になるように配置すべきところをノノノと同じ向きで配置したことで地震に耐えられず傾いたのものと思われます。
建築士なのか大工なのか分かりませんが、このような配置は絶対あってはならないのですが実際にあるんです。
壁の中に配置されている筋交いの向きまではお施主様は分かりませんし、その意図するところも正確には把握できません。
なので、建築士なり大工の存在が大事なんです。
ちなみに建築士であれば木造住宅の設計は誰でもできると思っていませんか??
これは当たっている部分とそうでない部分と半々です。
平面を描くことは建築士であれば誰でもできます。
大事なのはこの後です。
今はプレカットが主流なのでどこに梁を入れるか、どのように組むか、と言うのは建築士が考えることは少なくなっています。
プレカット工場から上がってきた図面をチェックするだけ。
チェックする要点も分からないという建築士も多いと思います。
(筋交いのチェック、指示は建築士がします。)
手刻みであれば大工任せなのも当たり前。
これが現状です。
弊社では墨付け経験のある建築士が平面の段階から、梁の組み方、全体のバランスを考えながら平面と構造躯体を頭に入れながらプランを練ります。
そのあと、筋交いを検討するんですが、壁になるところに配置すればいいという単純なことではないんです。
経験の少ない建築士の場合、とにかく耐力壁を規定量配置すればいいという風になりがちです。
よく見ると高倍率の耐力壁が配置されていたり、全体のバランスが悪かったり。
ソフトで計算をすると数値だけはクリアできてるんですが、木造としての力の流れや総持ちと呼ばれるように全体で持たせるということがどうもおろそかになっています。
弊社では、筋交いの検討は何十回と行います。
平面図での検討の他に、軸組図や、3D、重心、剛心、引き抜き耐力、力の流れなどを検討しながら過度な引き抜き耐力が偏ったところに発生しないように耐力壁の配置を決定します。
一回決定した後に時間をおいて再度確認をしたり、とにかく何回も確認します。
柱脚の金物の取り合いなどもありますので、結構大変な作業で1ヶ月くらいかかることもあります。
また弊社では、柱のほぞを梁成まで伸ばして加工することで軸組としての耐力が格段に高くなっています。
写真の例は約1尺(30cm)の梁に対してほぞ長が1尺(30cm)あります。
梁のほぞ穴は上から下まで貫通させます。
プレカットでは4.5cm~6.0cm程度のほぞ長ですが、これは単なる位置きめで構造としての効き目はほぼないのではないかと思います。
それに対して、ほぞが長いと地震の時に力を確実に柱に伝えることが出来、躯体(柱、梁)での総持ちを生かして地震力に耐えることが出来ます。
また、復元力が発生し自然と元の位置に戻ろうとする力が働くことが実証されています。
このように、躯体と耐力壁(筋交い)のお互いの力を発起でる構造体が弊社の強みです。
構造計算では表せない部分なのでなかなかお伝えするのが難しいところではありますが、ポテンシャルは高いです。