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2018/05/22
耐力壁
在来軸組みで用いられる耐力壁は筋交いと呼ばれる壁の中に斜めに配置された部材です。
基準法上は45×90以上の部材を用いることが決まっていますが、弊社では安全をみて45×120を使用します。
この時点で耐力壁が持つ余力がだいぶ上がっているのがお分かりいただけるかと思います。
そして、基準法上の必要最低限の耐力を1.0とした場合に弊社では1.2~1.5倍になるように筋交いを配置し、重心、剛心、N値(N値計算で計算された値)の3つを検討しながらバランスよく配置するよう心がけています。
N値計算とは地震時に柱にかかる軸力(圧縮力、引張力)を計算する方法で、木造の簡易な構造計算のようなものです。
また、耐力が増す(耐力壁を多く配置する)につれてN値が大きくなればなるほど柱にかかる軸力が増しそれに対応した金物が必要になります。
軸力のことは考えず耐力壁だけを多く配置し、結果的に地震時に柱にものすごい負担がかかるような設計をしているものを良く見かけます。
これは設計者判断なので何ともいえませんが、全体の耐力では余裕があっても、どこか偏っていたり、それに伴って柱にかかる軸力が過大になると柱が耐えられなくなり金物のビスで割裂破壊を起こす可能性があります。
ですので、弊社が設計する場合は重心、剛心を確認しながら全体の耐力を上げつつ、N値をチェックして柱にかかる軸力が過大にならないように配置するよう心がけています。
そして、最近の建物では壁に頼りすぎた建物が非常に多いように見かけられます。
在来軸組みにも関わらず、構造体が非常に細く耐力は壁だけというのが多いのです。
本来は軸組みをしっかりたてて、その上で壁に耐力を持たせる、これが基本だと思います。
この事は、実は内部の仕上げなどにも現れてきます。
30年、50年経つとはっきりと違いが分かると思います。
ちなみに、免震等を加えることも可能ですので気軽にご相談ください。